以前から2020年に日本がオリンピックを開催することに
向けてタバコの対策を強化する声が上がっており、
2017年3月に健康増進法改正案(原則禁煙法)を発表し
建物の中は禁煙とする法律を施工しました。
そして2018年7月18日にさらに強化された
「受動喫煙対策法」が成立しました。
この受動喫煙対策法に関してわかりやすくまとめてみます。
受動喫煙対策法の概要
多くの人が利用する施設の屋内を原則禁煙にし、
違反者には罰則も適用する内容です。
今後、段階的に施行し、
東京五輪・パラリンピック開催前の
2020年4月に全面施行となる運びです。
改正法は、事務所や飲食店など多数が
利用する施設の屋内を原則禁煙とし、
喫煙専用の室内でのみ喫煙できるようにする。
既存店は例外の特例も
さらに、個人または資本金5000万円以下の
中小企業が経営する客席面積100平方メートル以下の
既存店は、店頭に「喫煙可能」などと標識を掲示すれば
例外として喫煙を認めるとのこと。
厚生労働省は、飲食店全体の約55%が
例外の対象になると推計しています。
学校や病院、行政機関などは敷地内を
原則禁煙とするが、一定の条件を満たせば
屋外に喫煙所を設置できる。
喫煙違反者には罰金も
都道府県などの指導や勧告、
命令に従わない違反者には罰則も適用されます。
個人に対する罰金 | 禁煙場所で喫煙した個人に30万円以下 |
施設管理者に対する罰金 | 禁煙場所に灰皿などの喫煙器具や 設備を設けるなどした施設管理者に 50万円以下 |
東京都議会では6月27日に、従業員を雇う飲食店は
面積に関係なく原則禁煙といった、改正法よりも
厳しい規制内容である都条例が成立しています。
受動喫煙対策法で加熱式タバコ(アイコス)はどうなるのか?
今回の発表では加熱式たばこ(アイコス)は
受動喫煙による健康への影響が明らかでないとして、
たばこ専用の喫煙室では飲食も可能にする。
現状は喫煙室で飲食もOKですが、
今後は規制の対象になる可能性はあります。
というのも2017年にはこういった記事もあります。
2017年3月の段階では“紙巻きたばこ”が対象で、アイコスなどの加熱式タバコについては見送られていました。しかし2018年1月30日には加熱式タバコも規制対象になることを厚生労働省が発表しました。
アイコス(iQOS) 健康への影響に関する情報より引用
何故かと言うと、アイコスも煙の成分に
ホルムアルデヒドという発がん性物質が含まれているからです。
その副流煙が害があるかどうかが分かってからは
また変わってくると思います。
喫煙場所の区分けはどうなる?

引用:ついっぷるトレンド
おおまかに分けて3つの区分があるようです。
敷地内禁煙
学校や医療機関では一切の喫煙ができない。
「敷地内」が全面的に禁煙となるので
屋内は勿論、屋外でも喫煙はできません。
屋内禁煙
官公庁、大学、福祉施設、バス、タクシーなど
20歳以上の人々が出入りする場所でも屋内禁煙。
屋内禁煙なので、喫煙スペースを設けることも不可。
喫煙室設置可の屋内禁煙
条件を満たす会社等では喫煙スペースを作ることで
該当場所のみの喫煙が可能。
ただし、喫煙スペースは密閉されている必要があります。
ですので、「喫煙席」と言うものは不可能になるようです。
各施設の喫煙室や喫煙可とする小規模飲食店は
客、従業員とも20歳未満の立ち入りを禁止するようです。
日本はタバコ対策では世界最低水準の評価?

引用:禁煙実践ブログ!
喫煙スペースと禁煙スペースが別れはじめたのは
最近の話ですが、それでも受動喫煙に関しては
世界保健機関(WHO)の4段階の基準において、
日本の受動喫煙対策は最低レベルとされています。
1990年代以降、アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州などでは、一般の職場はもちろんレストランやバーも全面禁煙とする動きが始まりました。そしてアイルランドで2004年に世界で初めて国全体を全面禁煙とする法律が施行され、同年のニュージーランド、その後もウルグアイ(2006年)・イギリス(2007年)・香港・トルコ(2009年)、そしてアメリカでも半数以上の州で屋内を全面禁煙とする法律が成立しています。喫煙する利用者の利便性よりも、飲食店等で働いている人を受動喫煙から保護することの方が重要だからです。全面禁煙となっている国は、2016年時点で55カ国となり、途上国を含む世界各国に広がっています。
e-ヘルスネットより引用
既に55カ国が全面禁煙となっている中で
日本だけはまだ法整備がなされていないのが現状です。
飲食店への影響はどうなる?

引用:ザンデボーテ
普通の飲食店にまで禁煙が施行されてしまうと
喫煙者が飲食店に入りづらくなることから
お店の売上にも影響するのではないかと
危惧されていますがこのあたりは気になるところです。
禁煙法が進んでいるヨーロッパでは
フランス政府は、イタリアがバーとレストランを禁煙にした結果、売り上げが20%増加したことを強調している
と発表しています。
フランスでは全ての屋内で禁煙する法律を施工しましたが
なぜイタリアのレストランは売り上げが上がったのでしょうか。
まずタバコの煙が出るようなレストランでは
子供を連れていく家族は少ないですね。
そしてタバコが苦手な人も入りませんから
そういった層が外食しやすくなったことも背景にあります。
しかし、既存店は例外もあるので、
この限りではありませんが、
平均的に見れば、飲食店の半分くらいは
3年で入れ替わるというデータもあり
最終的にはほとんどの飲食店が
全面禁煙になるだろうと見られています。
日本の喫煙者の割合は?

引用:JT
日本での喫煙者の割合は
2017年「全国たばこ喫煙者率調査」にて
男女計で18.2%との調査結果が報告されています。
全国の喫煙人口は1,917万人です。
2016年の調査で日本人口が1.27億ですから
全年齢で考えると15%くらいでしょう。
約90%に近い人数が禁煙者になりますから
割合から見ても禁煙者に快適な空間を用意したほうが
経営する視点でも有利と見て良いでしょう。
イタリアのレストランの結果で
禁煙にしたことで売り上げが上がったのも
それを物語っているのではないでしょうか。
日本もイタリアと同じように
外食を利用するお客さんも増え、
売上も上がると思います。
いつから受動喫煙対策法が施行されるのか?

引用:BLOGOS
この受動喫煙対策法は、
東京五輪・パラリンピック開催前の
2020年4月には全面施行するとのこと。
特にオリンピックが開催される都内では
都条例で更に厳格化されるようです。
東京都では受動喫煙防止条例が6月に成立し、政府よりも厳しい対策が導入される。都内の飲食店は面積に関係なく規制の対象とする。従業員を雇う店は原則屋内禁煙で、煙を遮断する専用室を設ければ喫煙を認める。従業員のいない飲食店は屋内の禁煙、喫煙を選べる。小中高校や保育所、幼稚園は敷地内禁煙とし、屋外の喫煙場所の設置も認めない。
https://www.nikkei.com/より引用
悪質な喫煙違反には過料を科すようです。
違反した場合は「50万円以下の過料」になります。
オリンピックには開催国のプライドもありますから
日本政府も「タバコの世界最低水準国」の
汚名は耳の痛いところですし、
開催までには厳しく法整備したいところです。
罰則もキツくなっていきますが、これが世界水準です。
今回の法整備で気になるのは、
公道などの路上はどのようにするのかと
いう部分は気になります。
とくに繁華街では路上喫煙も目立ちますし、
道路にも吸殻がまだ捨てられているのが現状です。
もちろん想定はしていると思うので
何らかの対策が出るでしょう。
海外で日本人の喫煙トラブルも!?
日本は禁煙に対する意識付けがされていない
傾向が高いので、最近では海外でも
日本人による喫煙トラブルがあるようです。
旅行する際に世界ではどのような施策があるのか
チェックしておいて良さそうですね。
タイでも禁止されている電子タバコで
日本人が知らずに吸ったことで、
罰金を払わされている例もあるようです。
バンコクで電子タバコの使用による日本人逮捕者が続出中!
バンコク、特にスクンビットでIQOSなど電子タバコの所持・使用による日本人の逮捕者が続出している。
知人は先週ソイ39のフジスーパーでIQOS使用の現行犯で逮捕され、警察署に連行。罰金5万Bを請求され、最終的に2万Bで手を打ち釈放。— Naoya Akashi@バンコク (@naoya_bkk) 2018年7月16日
知らなかったでは済まないですし
たった1本の喫煙で罰金数十万なんて
かなりキツいですからね…。
まとめ
喫煙スペースが設けられているにも関わらず
会社の会議室や小規模の個人経営店では
吸っている人も居たので、マナーを問うより
法律で規制になったのかもしれません。
昔は喫煙者のほうが多いイメージもありましたが
最近では分煙などの対策もされるようになりましたし
日本も世界にやっと追い付いたという感触があります。
今回の改正健康増進法が施行されても
1ランクしか上がらず、
日本はまだ世界の水準に追いつきません。
ヨーロッパ各国やカナダでも
病院や学校、飲食店、バーなど人の集まる場所は
すべてを禁煙となっていますから、日本も
この法成立を皮切りにどんどん法整備がされていくと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。